鍼灸師国家試験の合格率が年々下がってる理由を考えてみた

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どうも、京都府向日市 リズム鍼灸院の湯村です。


3月のはじめに、柔道整復師 はり・きゅう あんまマッサージ指圧師国家試験の合否発表がありました。受験生のみなさまお疲れ様でした。

僕も14年ほど前に受験したんですが、一年に一回しかないこの試験。受かるか落ちるかで、その後の人生が大きく変わるかもしれない一大イベントです。えらく緊張したのを覚えています。

僕は鍼灸専門の大学に通い3年終了時に国家試験を受験、免許を取った状態で4年の実技研修を受ける。といったカリキュラムだったため、免許を持っていないとかなりつらいです。さらにこれよりつらいのが専門学校。こちらは3年制ですから、免許持っていなくても卒業になります。就職にかなり影響するでしょうね。


その合格率ですが、今年は僕が受験した当時よりもかなり下がっているではありませんか?気になって最近のデータを確認したところ、合格率はジワリジワリと下降していました。問題が難しくなったせいなんて言われていますが、どうなんでしょう?今回はその理由について考えてみました。


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鍼灸師国家試験受験者数の推移

まずはじめに、鍼灸師の国家試験の概要について簡単に説明しておきます。

試験は毎年2月の終わりに実施され、約1ヵ月後に合否が発表されます。鍼灸師の免許は『はり』と『きゅう』に分かれていて、どちらか一方しか合格しないこともあります(のちほど説明)。試験問題は全部で160問。4択のマークシート方式です。


内容は、医療概論(医学史を除く)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論、経絡経穴概論、の中から140問。

残りの20問は、はり理論ときゅう理論からそれぞれ10問ずつ出題され、140問中84問(60%)、各10問中6問(60%)以上の正解率が合格ラインと言われています。


注意しておかないといけないのが、140問中84問以上正解していたとしても、はり理論、きゅう理論が5点以下だと、どんなに総合点が高くても不合格になるらしいです。これが、はり・きゅう一方しか合格しないこともある理由です。(毎年何名かいます)


ちなみに片方しか合格しなかった場合、来年以降再びチャレンジして、また140問中84問以上正解して、はり・きゅうの残っている10問をクリアしないといけません。もう一回受けるのと実質同じようなもんですね。

はり・きゅう国家試験受験者数の推移

はり・きゅう国家試験受験者数の推移 はり・きゅう国家試験受験者数の推移

(出典:全国柔整鍼灸協同組合


上の表は、第1回から平成27年度に行われた第24回までの、はり・きゅう国家試験受験者および合格者数、合格率の推移です。何人受けて何人合格したかの数値です。今年度は、はり73.4%、きゅう75.0%の合格率でした。


直近10年でいうと、合格率が80%切っている年がはり・きゅうともに9回。それに対してそれ以前の14年間では、はり5回、きゅう4回しか80%割れがないことを考えると、合格率はかなり下がっていると言えます。

はり・きゅう国家試験受験者数の増加

ここで注目して欲しい数字があります。それまではり・きゅうの受験者数は2,500人前後だったものが、第11回の試験から毎年約500人ずつ増え、5,000人前後で落ち着いているのが分かります。この年になにがあったのか?


これは2001年、当時首相だった小泉純一郎氏の構造改革によって規制緩和が行われ、鍼灸師を養成する大学や専門学校が爆発的に増えたことがその原因です。この学生の増加が第11回以降の受験者数に影響してきました。


そしてこのあたりから合格率も下がり始めていますね。

鍼灸学校はもともと狭き門?

鍼灸学校はもともと狭き門?

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規制緩和が行われる以前、僕が大学へ入学したころは鍼灸師や柔道整復師になるのは結構大変でした。まずなかなか学校に入れません。関係者の紹介がないと入学できないとか、高い寄付金を積めば入学できるとか、まことしやかなウワサがありました。(あくまでウワサですよ)。実際、僕も鍼灸の専門学校には何校か落ちています。ちなみに寄付はしてません(笑)

なので、学力で入ろうと思えばそこそこ勉強ができないと入れません。僕の同級生もみんな基礎学力はしっかりしていました。飛びぬけてアホな子はいませんでしたね。


しかし規制緩和によって学校が乱立した結果、それまで2,3倍だった入学倍率が一気に下がり、定員割れまでする事態に陥りました。学生の取り合いです。乱世です。こうなると学校側も寄付金を要求するどころじゃありません。色んな特典がついてたりします。僕の苦労は何だったんでしょう。


以前勤めていた職場のバイトの子に、勉強が全くできない子がいましたがこの子もちゃんと入学できてました。学校を選びさえしなければ、よっぽど人間的に問題がない限り落ちることはなさそうです。

ただこの子は専門学校に通いだしてからはまじめに勉強を続け、国家試験も一発で合格しました。仕事もよくやっていましたしがんばったんだと思います。


鍼灸師の国家試験に合格するのに、高校までの学力は関係ないと僕は感じます。もちろん基礎学力が高い方が理解力も高まりますが、それよりも入学してからの努力の積み重ねの方がもっと重要です。なんでもそうですけど。


これを踏まえて考えると合格率が年々下がってるのは「学校が増えてアホな学生が増えたせいかな~」なんて思いましたが、もうちょっと調べてみるとどうやら少し違いました。

鍼灸師国家試験受験者数の内訳

鍼灸師国家試験受験者数の内訳 鍼灸師国家試験受験者数の内訳

(出典:日本手技療法協会

これは、日本手技療法協会が発表している『学校別合格状況(はりのみ)』の一覧です。最新のものがなかったので2年前のもので説明します。画像を引っつけているため、一覧の学校がすっ飛んでいますが説明には問題ないので気にしないでください。

この年、はり師の合格率は77.3%で80%割れしています。しかし表の左上「学校名」と書いてある横に、「総数」「新卒」「※既卒」と分類があります。
※「既卒」とは、すでに学校を卒業した受験生のことです。


この中の「新卒」だけの合格率を見ると、なんと91.1%!

これに対して「既卒」の合格率・・・じゅ、19.2%!?Σ(Д゚;/)/…エエ!?


毎年1,000人前後の「既卒」が受験していますが、だいたい同じような数値を叩きだしています。既卒の受験生の合格率がこれだけ低いと全体の数値にもかなり影響しますよね。

直近10年で83.0%の合格率を出した第19回の『学校別合格状況(はりのみ)』をみてみると、

  • 新卒:95.1%
  • 既卒:35.3%

となっており、どちらの数値も平均より高いことが分かりました。むしろ新卒の合格率がエグイ。

この結果、


今の学生の学力は低くない(新卒に限る)、既卒が合格率の平均を引き下げている。


ということが判明しました。ただ、僕の時代にも教員から「2回目以降の国家試験の合格率は3割程度になるから絶対一回で受かっとけ」とよく言われていました。そのため、「既卒」の合格率自体は依然と大差ないのかもしれません。(データがないため分かりません)

学校乱立によって「既卒」の人数が増えたため、合格率への影響が大きくなったものと思われます。


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まとめ

結局、何ともまとまらない話になってしまいました。今回わかったことは、合格率が下がっている原因は


  • 学生の質が落ちた
  • 試験問題が難しくなった
  • 学校の教育レベルが低い

上記の理由ではなく、「既卒」へのフォローが足りないせいだと感じました。学校を卒業すると勉強を教えてもらえる環境ってなかなかありません。『教えてもらう』というスタンスがすでに甘えだという意見もあるでしょうが、もう少し「既卒」に対して学校側がフォローする仕組みがあってもいい気がします。

卒業したらあとは勝手にがんばってなんてさみしいじゃないっすかー。

なにはともあれ、受験生のみなさん本当にご苦労様でした。これからの鍼灸師への未来に幸あらんことを願います。


では、では。


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