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どうも、京都府向日市リズム鍼灸院 の湯村です。
厚生労働省の決定により、2016年4月から紹介状なしで大病院を受診する際には、患者に5,000円以上の追加負担がかかることになりました。
これは保険診療分ではないため、全額患者の自己負担になります。
今回は、ムダなお金を使わないためにこの制度について詳しく解説していきます。ぜひ一読していただいて、突然請求されてビックリすることのないよう注意しましょう。
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病院とクリニックの違い
まず大前提として、今回5,000円以上の追加負担の対象になるのは「大病院へ初診で行くのに紹介状がない場合」に限られます。クリニックや診療所に行く場合は関係ありません。
普段あまり考えたことがないと思いますが、「病院・クリニック・診療所」という名称は経営者が何となくつけているわけじゃありません。意味に明確な違いがあります。まずはそこを説明していきます。
病院とクリニックや診療所との違い
「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
出典:医療法 第一条の五 – 厚生労働省
つまり名称はベッドの数で決まります。
病院の分類
病院は規模や役割によってさらに3つに分かれます。
一般病院
名前のとおり、一般的な治療を行います。ちょと大きいなぐらいの病院なんかはこれに当てはまります。
地域医療支援病院
一般病院やクリニックでは対応しきれない患者のバックアップとしての位置付けです。ベッドは200床以上必要なようです。
特定機能病院
昔は総合病院と呼ばれていました。そう言われれば総合病院の看板って今は見ないですね。高度な専門的医療を提供する大学病院や国公立・企業病院がほとんどです。より難易度の高い手術や、高度な設備や医療機器で治療を受けることができる病院です。
今回の決定で対象になったのは、ベッドが500床以上ある大病院と大学病院などの特定機能病院です。ですから、対象となる病院の数は実はかなり少ないです。
ちょっとタイトルで煽りすぎました。すいませんヾ(ω` )/
しかし、紹介状なしの追加負担は以前からあったんですよ。知ってましたか?
紹介状とは?
紹介状は難しく言うと「診療情報提供書」と呼ばれていて、医師が他の医師へ患者を紹介する際に書いてもらう書類のことです。
この書類には患者のからだの状態や、検査、治療内容などが記載されています。この紹介状のおかげで、紹介された医師はスムーズに治療を引き継ぐことができます。
もちろん、紹介状がなくても病院を変えたければ自由に変えることはできます。この先生なんか合わないし、違う病院行ってみよう。っていうのは患者に与えられた権利ですから気にしないでやっちゃってください。
病院によっては追加費用がかかる
自由に病院を選んでもいいんですが、ひとつ気をつけないといけないことがあります。200床以上の病院へ飛び込みで行くと「選定療養費」として、2,000~3,000円が初診料とは別に加算される場合があります。これが先程説明した、紹介状なしで受診すると追加される費用です。
加算される場合があると言ったのは、「選定療養費」は請求している病院とそうでない病院があるからです。
選定療養費の金額は病院側が自由に決めていて、全額患者の自己負担になります。なので病院によっては8,000円以上のところもあったり、逆に請求をしていない病院があったりとややこしいです。大体の相場が2,000~3,000円になっています。
義務付けられたのは大病院のみ
しかし先程も説明しましたが、対象が義務付けられたのはベッドが500床以上ある大病院と大学病院などの特定機能病院です。ベッドが200床以上500床未満の中堅(?)病院は対象外です。よって今まで通り自由請求のままだと思うんですが、これどうなるんでしょうね?
ちなみに、初診時の選定療養費を徴収している200床以上の病院の数は、全体の45%程度にとどまっているようです。請求できていない病院の方が多いんですね。こちらが今回の改定を機にどういった動きをするのかも注目です。
ややこしいのでまとめ
ちょっとややこしくなってきたのでまとめます。
- 今までもベッドが200床以上の病院は初診時に追加でお金を請求してもよかった(選定療養費)
- でも、実際は全体の45%の病院しか請求できていなかった
- それが2016年4月から最低5,000円必ず請求できるよう決まった
- でも、それができるのはベッドが500床以上ある大病院や大学病院だけ
- じゃあ、中堅病院はどうなるの?
かなり話の本筋が逸れてしまいました。結局、余計なお金がかからないようにするため、「大病院へ行くときはまず近くのクリニックで紹介状をもらった方がいいよ」というお話です。
なぜ紹介状が必要になったのか?
でもここで間違ってほしくないことがひとつ。「ウェーイ!大病院へ行きたいときは紹介状書いてもらえばいいんだな」と思った方、まず前提が違います。
あなたが大病院へ行きたいから紹介状を書いてもらうんじゃないんです。
もちろん患者に書いてくれと言われたら医師は拒否することができませんよ。でも、紹介状はあくまで医師主導で書くべきものだと思います(セカンドオピニオンは別です)。ここを勘違いすると、「ちょっとオレ大きな病院行きたいから紹介状書いてよ」というアホな事態が起こります。絶対にやらないでくださいね。
そもそもなんで紹介状がないと追加負担がかかるようになったんでしょうか?
医療改正が行われた理由
医療改正が行われた理由は2つあります。
1.本当に必要な人が受診できるように
紹介状が必要な大病院の本来の設立目的は、その病院でしか治療できない専門的な医療を行うことです。そのために、最先端の機器や腕の良い医師を集めているんです。でもそうすると有名な先生に診てもらいたいからと、患者が集まってきます。
中には、近くのクリニックで十分対応できるひとや、そもそも診療する科を間違っているひとさえいるでしょう。僕たち素人が自分で判断してしまうと、このようなミスマッチが起こります。
こんな患者が増えてしまうと、本当にそこでの治療が必要な方が受診できなくなる可能性が出てきます。
そのミスマッチを防ぐため、まずは近くのクリニックへ行ってねというわけです。
2.医師の負担を減らすため
大きな病院になると患者の数もメチャクチャ多いです。徹夜明けで治療してます、なんてよく聞きます。
大病院を受診する前に、一通り問診や簡単な検査が終わっていれば、初診時での医師への負担はかなり減ります。もちろん、詳しい検査が必要だと判断されたうえでの受診ですから、適当に診るわけにはいきません。
でも一から症状を聞く手間や、もっと言えば来なくてもいいような症状の患者を相手にすることがなくなれば、それだけでもかなりの負担減でしょう。
以上、患者と医師、両方のメリットのために紹介状が必要になったんです。
紹介状を書いてもらう費用
紹介状を書いてもらうときの費用を説明します。
- 一般の紹介状:2,500円(負担割合3割:750円)
- セカンドオピニオン用:5,000円(負担割合3割:1,500円)
初めて行くクリニックだと、これに初診料と検査の金額がプラスされます。紹介状をもらうためにわざわざ一度クリニックへ行く手間と費用を考えると、紹介状なしで大病院にお金払った方がいいんじゃないかと思うかもしれません。
ただこれは金額の問題じゃなくて、患者と医師のミスマッチを減らすために行うものです。キチンと受診することでお互いのためだけじゃなく、他の患者のためにもなると考えてみてください。
紹介状のデメリット
ただしやっぱり弊害もあって、大病院に行くのを躊躇してしまって重い病気の発見が遅れるケースも指摘されています。また地域によってはクリニックが充実していないところもあります。この場合、大病院に患者が集中するのは仕方ありません。
そもそも地域医療と国の医療機関の連携がうまくいってないんじゃどうしようもありませんから。
まとめ
4月から5,000円負担が増えるのか?と不安に思って読んでいただいた方には申し訳ない。でも読んでいただくことで、厚かましいですが医療のあり方を考えるキッカケになってくれればとってもうれしいです。
調子が悪くなったときは、まず地域のクリニックへ行ってから、必要だと判断されれば大きな病院を紹介してもらう。というよくよく考えれば当たり前の話なんですよ。
今回の改正が一極集中への歯止めになればいいと思いますが、ムリヤリ抑え込むと必ず反発が出てきますから、その辺も今後の課題のひとつでしょうね。
ではでは。