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どうも、京都府向日市リズム鍼灸院 の湯村です。
当院には膝に水がたまってパンパンに腫れている患者さんがよく来院されます。
患者さんの中には何度も水を抜いている人もいますが、これは治療が適切じゃないせいで、適切な治療をすれば水がすぐにたまるなんてこと起こりません。
膝に水がたまる原因と治療!何度も膝の水を抜いてる人はまずこの3つやってみて膝に水がたまるのは何も変形性関節症だけが原因じゃなくて、原因となる病気の種類はたくさんあります。そしてどれも一般の人には見分けがつきにくく、専門の医師に診てもらわないと判断はムリです。
今回は、膝に水がたまる病気まとめ!ということで、変形性関節症以外で水がたまる病気に何があるのか?それぞれの病気の原因と症状をざっくり説明していきます。
水がたまって悩んでいる人の参考になれば幸いです。
ではいっきまーす(o゚∀゚)o━!!
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膝に水がたまる原因とは
膝に水がたまる病気の紹介の前に、なんで膝に水がたまるのか?について簡単に説明しておきます。
膝に水がたまる原因
上の図は膝を正面と横から見たものです。大腿骨(だいたいこつ)が太ももの骨、脛骨(けいこつ)がスネの骨で、この大腿骨と脛骨がぶつかるところが膝の関節になります。
ぶつかるといっても、大腿骨と脛骨はピッタリとくっついていないですよね。この2つの骨には膝が動きやすいよう空間が空いており、その空間は滑液(関節液)と呼ばれる潤滑油のようなもので満たされています。
膝に水がたまるとは、膝関節の中の滑液が増えすぎてしまった状態のことです。水風船の水を入れすぎてしまったように膝がパンパンに腫れあがります。
そして滑液が増えすぎる原因が膝関節の炎症です。
炎症反応の原因と症状とは?炎症について世界一分かりやすく解説!基本「膝に水がたまる」のはすべて炎症が原因なんですが、炎症が起こる原因に色々な病気が関係しているためややこしくなっているんです。今回はそれをまとめました。
長くなりましたが、膝に水がたまる病気のまとめを紹介していきます。
膝に水がたまる病気まとめ
膝に水がたまる病気は以下になります。
- 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
- 関節リウマチ
- 関節ねずみ
- 化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)
- 膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)
- 滑膜骨軟骨腫症(かつまくこつなんこつしゅしょう)
- 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)
- 結核性関節炎(けっかくせいなんこつえん)
- シャルコー関節
- 偽痛風(ぎつうふう)
- 半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
- 膝靭帯損傷(ひざじんたいそんしょう)
- 血友病(けつゆうびょう)
それではひとつずつ原因と症状を説明していきますね。
1. 変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)
先ほど「大腿骨 + 脛骨 = 膝関節」と説明しましたが、大腿骨と脛骨がぶつかる部分にはその周囲に関節軟骨(かんせつなんこつ)という軟骨がくっついています。(上図参照)
関節軟骨は骨と骨とがぶつかったときの衝撃を受け止め、さらにはスムーズに動くように滑りをよくする働きがあります。
変形性膝関節症はこの関節軟骨がすり減ってしまったために、クッションがなくなって関節に負担がかかり炎症が起きてしまう病気です。老化や肥満により関節軟骨がすり減ることが原因です。
歩き始めや立ち上がり、膝の曲げ伸ばしに痛みを感じるのが特徴で、ひどくなると膝の変形が起こってO脚になり膝を曲げることができなくなります。
関節軟骨がすり減って起きる炎症
膝の曲げ伸ばしや動き始めに痛みを感じる
2. 関節リウマチ
自己免疫疾患のひとつで、本来はからだに入ってきた異物を攻撃するはずの免疫細胞が、なぜか関係ない健康な細胞を攻撃してしまうことで起こる病気です。
ほとんどのケースでは、手や足の指といった小さな関節から攻撃され炎症が始まります。これによって関節の破壊や痛みが起こります。膝の関節リウマチは膝関節の中の「滑膜」が破壊され炎症が起こります。
先ほども説明しましたが、膝の中に炎症が起こると滑膜からどんどん滑液(関節液)が出てきて、膝が腫れてしまうんです。
鑑別方法としては、関節リウマチは膝や肘といった大きな関節から破壊されることは少ないため、もともと指先や足先に関節リウマチの症状がある人。こういった人で膝に水がたまっている場合は関節リウマチを疑った方がいいかもしれません。
自己免疫反応による滑膜の炎症
手指などにリウマチの症状が出る
3. 関節ねずみ
関節ねずみとは、関節の中の骨や軟骨の一部がはがれて関節内を動き回る病気です。小さな骨片が関節内を自由に動き回ることから関節ねずみと呼ばれていますが、このねずみが関節の中の健康な組織を傷つけることで炎症が起こって水がたまります。
原因として多いのが、スポーツや事故で関節内の骨や軟骨がはがれ落ちることです。ほかにも、骨の変形・異常を伴う病気でも起こります。代表的なのが、変形性膝関節症です。
上の「膝に水がたまる病気1」にも出てきましたが、骨や軟骨が老化によってボロッとはがれ、それが関節内で漂って炎症を引き起こします。
動き回っている骨片が関節の間に挟まると、急にロッキング(関節が動かなくなる)して激しい痛みを伴います。またロッキングがなくなれば痛みもなくなるといった症状が特徴です。
外傷や病気で骨や軟骨がはがれ落ちる
ロッキングで急に関節が動かなくなる
4. 化膿性関節炎(かのうせいかんせつえん)
関節の中に細菌が入ってしまい化膿(炎症)してしまう病気です。発赤や激しい痛みを伴い、膝にたまった水が黄色く濁り粘り気があるのが特徴です。
- 関節内を傷つけるような深い傷
- 扁桃炎(へんとうえん)、膀胱炎(ぼうこうえん)などほかの感染巣からの感染
- 関節に薬を注射するなどの医療行為
膿(膝にたまった水)を検査し細菌が特定できれば、それに合わせた抗菌薬の投与で治療することができます。
関節の中に細菌が入り化膿
膝にたまった水が黄色く濁り粘り気がある
5. 膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)
上の図の右側に水色になったところが2か所あると思います。上の水色が膝蓋前滑液包炎を起こして水がたまっている場所です(膝の皿の上)。ちなみに下は脛骨の前に水がたまった脛骨粗面(けいこつそめん)滑液包炎です。2つとも原因は一緒です。
膝蓋前滑液包炎は、正座や膝立ちが長時間続いたり、スポーツなどで膝に負担がかかると起こる病気です。皮膚と骨との間にある滑液包(かつえきほう)に炎症が起こるのが原因です。
膝の圧迫による滑液包の炎症
膝をつくと痛い
6. 滑膜骨軟骨腫症(かつまくこつなんこつしゅしょう)
関節の内側を覆っている滑膜(かつまく)に腫瘍ができ、それが段々硬くなって骨のようになり、はがれて遊離体(関節ねずみ)になって炎症を起こす病気です。先ほど「膝に水がたまる病気3」に出てきた『関節ねずみ』の原因になっている病気のひとつです。
症状は『関節ねずみ』と同じで、ロッキングから痛みを伴います。滑膜の腫瘍自体は良性のもので、これが直接からだに害を及ぼすことはないようです。
滑膜に腫瘍ができて(原因不明)『関節ねずみ』を作る
『関節ねずみ』を参照
7. 離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)
離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)は、膝関節を構成している大腿骨の先端の血流が悪くなり、関節軟骨の一部がその下にある骨と一緒にはがれ落ちてしまう病気です。上図の赤色ギザギザ部分です。
血流が悪くなるから老化が原因だと思ったかもしれませんが、この病気を多く発症するのは10代男子なんです。
関節軟骨は膝関節の中でクッションのような役割をしていますがスポーツ、特にジャンプ系の競技ではこのクッションに負担がかかりすぎてしまうため、逆に血流が悪くなるんです。
初期だと骨に亀裂が入るだけで痛みはほとんどありませんが(運動後の痛みぐらい)、はがれ落ちると『関節ねずみ』になります。
過度の膝への負担による血流障害
『関節ねずみ』を参照
8. 結核性関節炎(けっかくせいかんせつえん)
肺結核の原因である結核菌が血液にのり関節に入って起こる病気です。結核は一度かかると菌がからだの中に何十年もいることがあります。それが高齢になったり糖尿病など免疫力が低下すると再び発症することがあるんです。
関節の腫れや痛みはありますがそれほど強くはなく、発赤や熱感もあまりありません。しかし結核菌の炎症により関節が壊されると、関節内に膿(膝の水)がたまっていき皮膚に穴が開いて外に出てくることがあります。これを瘻孔(ろうこう)といいます。
ほかの膝関節炎との判別が難しく、関節液をとって結核菌の有無を調べるのが有効。
免疫力低下による結核菌の関節内での炎症
微熱や食欲不振、寝汗など肺結核の症状が出る場合がある
9. シャルコー関節
シャルコー関節は脊髄の中を通る中枢神経や抹消神経に障害が起こり、痛みを感じにくくなるため、関節に過度に負担がかかっても気づかなくなることで関節が破壊される病気です。神経病性関節症とも言います。
痛みに鈍くなるので、普通では動かせないような角度で動かしたり、痛くてできない姿勢を長時間続けることで、関節がどんどん破壊されていきます。その過程で膝に炎症が起こって水がたまります。
シャルコー関節の原因となる神経障害は、梅毒、糖尿病、脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)、脊髄癆(せきずいろう)などによって引き起こされます。
神経障害による痛み感覚の低下からくる関節の破壊
関節の不安定性、痛みをあまり感じない
10. 偽痛風(ぎつうふう)
尿酸値が高いと痛風になりやすいと言いますが、あれは尿酸ナトリウムの結晶が関節内で炎症を起こしています。一方偽痛風(ぎつうふう)は、ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内で炎症を起こす病気です。症状が痛風と似ているためこのように呼ばれています。
ピロリン酸カルシウムの結晶がはがれ落ちると、それに反応して炎症が起こり水がたまります。痛みは風が吹いても痛む痛風と同じで、激しい痛みですが痛風よりは痛くないらしいです。
しかしこれといった有効な治療手段がなく、対症療法が中心しか手段がないのが辛いところです。
ピロリン酸カルシウムの結晶化(原因不明)
激しい痛みが突然出るが、自然と軽減する
11. 半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
関節を構成する骨の周りには関節軟骨というクッションがありますが、膝の関節にはさらに半月板(はんげつばん)というすごく頑丈なクッションがあります。(画像うすいオレンジ部分)
この半月板、実はクッションになるだけじゃなくて関節をスムーズに動かす役割もあるんです。半月板損傷はこのクッションが壊れてしまったために、膝の骨同士がゴリゴリ当たって炎症が起こる病気です。
当然膝関節には炎症が起こり、水がたまりますよね。
多くはスポーツの現場で起こりますが、加齢とともにすり減ってくるところでもあるので注意が必要です。
外傷による半月板の損傷
血腫(膝の水に血が混じる)
12. 膝靭帯損傷(ひざじんたいそんしょう)
膝関節には関節をしっかりと安定させるため、骨と骨とを4本の靭帯でガッチリと固定しています。
- 前十字靭帯(ACL)
- 後十字靭帯(PCL)
- 内側側副靭帯(MCL)
- 外側側副靭帯(LCL)
ちなみにこの中で最も痛めやすいのは内側側副靭帯(MCL)になります。
この4本の靭帯のどれが損傷しても膝靭帯損傷といい、主にスポーツで直接外力がかかって膝に炎症が起こる病気です。もちろん水がたまります。
靭帯は関節をしっかりと固定して安定させる働きがあると説明しましたが、靭帯が切れてしまうと固定する力が弱くなり、膝がグラグラになります。
外傷による膝靭帯の損傷
血腫、膝関節の不安定性
13. 血友病(けつゆうびょう)
血友病は、ケガをして出血したときに血液を固めるタンパク質である「血液凝固因子(けつえきぎょうこいんし)」が生まれつき欠乏している病気です。
そのため少しのケガでも出血が止まらず、膝関節内に血腫としてたまる場合があります。患者の99%が男性というのも特徴です。
血液凝固因子の欠乏
炎症ではないため発赤、熱感がないことも多い(外傷の程度による)
まとめ
今回は、膝に水がたまる病気まとめ!ということでそれぞれの病気の原因と症状をざっくり説明しました。
膝に水がたまる症状は珍しいものではありませんが、水がたまる原因となる病気には色々なものがあります。今回はその一部を紹介しました。
ではでは。
【プロ鍼灸師が教える】膝の痛みを治すためのアイテムを厳選して5つ紹介! 膝の痛みにグルコサミンの効果はあるか?うすうす分かってると思いますがお答えします 【随時追加】膝の痛みについてこれまで頂いた質問をまとめました!
初めまして。花と申します。
今年の2月からずっと膝に水をためてしまってます。
最初の2か月は整形外科で水を抜いて抗炎症剤を注入していましたが、1週間未満で貯まってしまうを繰り返してました。
原因を突き止めようとMRIを撮ってみてもらったのですが、結局はカメラを入れないと原因はわからない。と言われ、2週間安静は難しく断念しました。
その後、水が貯まることは繰り返してますが、抜かなくても引く(吸収してしまう)ことが分かったので、それを繰り返しています。
こちらの記事を拝見させていただいて、可能性のある病名を載せていただいてとても分かりやすく感謝しております。
一つ質問ですが、こちらの記事の中でMRIではわからない病名はどれでしょうか?
変形性膝関節症などはレントゲンやMRIで解ると思うんです。
整形外科の先生もおっしゃってました。
これはMRIを撮っただけじゃわからないかもなー、というのがありましたら教えていただけますでしょうか?
初コメントで不躾なお願いで大変恐縮ではございますが、お時間のある時にでもお願いいたしますm(_ _”m)
ちなみに、少し懸念していることがございまして、左ひざに水が貯まるのですが、繰り返していて解ったことがありまして、常に左足が冷たいのです。
右足と比べて、かなり冷たいです。
左右で温度差がある病気で下肢動脈閉塞があると調べてみて解ったのですが、下肢動脈閉塞で膝に水が貯まるという症状が起きることはありませんか?
カメラを入れる以外に治めていく方法がないか模索しております。
お知恵を拝借できればと思い、コメント残させていただきました。
お忙しい所、恐れ入りますが、宜しくお願いいたします。
花さん、コメントありがとうございます。
僕は医師ではないので参考程度に聞いて下さい。医師の判断や技量にもよるとは思いますが、
8. 結核性関節炎
9. シャルコー関節
10. 偽痛風
13. 血友病(けつゆうびょう)
この4つは内科もしくは神経内科の領域ですので、MRIだけでは判断できない疾患です。ただしこれらの可能性は低く、水がたまる疾患はMRIで判断できるものがほとんどです。
なのでほかの科を受診するよりも病院を変えて違う医師に診てもらう方がいいのではないかと思います。
>下肢動脈閉塞で膝に水が貯まるという症状が起きることはありませんか?
これについては膝に水がたまるより下肢全体に浮腫が起こるほうが可能性は高いと思います。あくまで可能性ですので、左の脚だけ冷たいことも含め担当の医師に一度ご相談してはいかがでしょうか。
一日も早い回復を祈っております。